そういえば広東語、あっという間に話せるようになった。
あっちこっちで
「学校に行ったのか?」
「香港にどれくらい住んでいるのか?」
と聞かれて
「学校にはぜんぜん行っていない。」「香港に住んだのは全部あわせて何ヶ月か」
というとめちゃくちゃびっくりされる。
なぜかというと広東語って
自分の知っている日本語、ベトナム語、北京語のどれかに単語が必ず似ているから。
たとえば
「とっても簡単。」という場合は 「好簡単 ホウ カーン ターン」
で日本語のかんたんをちょっと間抜けに発音すればいい。
「とっても複雑」という場合は 「好複雑 ホウ フーック チャーップ」
でベトナム語の フックタップ(複雑)のタップを 広東語っぽくチャーップに変えればいい。
「とっても難しい」は 「好難 ホウ ラーン」
で 難という字がナンでもランでもいいのはベトナムの北部と同じ!NとLの区別があいまい。
で、「勉強するのがすごい難しい」は「好難学 ホウ ラーン ホック」
ベトナム語も学はホックなのですぐ覚えてしまう。
「ごめんなさい」は 「無意思 (モウ イシー)」 (意図してやったわけじゃないんですよ。ごめんなさい。って感じで覚えやすい)
「大丈夫です」 は 「無問題 で (モウ マン タイ)」 (そのまま 無問題!北京語では「没問題 (メイ ウェン ティー)」 なのでそれを広東語風に無にすればいい!)
北京語と似ている言葉を書き出したら
「電話番号」は 「電話号虎(一字)石馬(一字)で (ディンワー ホウマー)」
で 北京語の同じ漢字 (ティエン ホア ハオ マー)の能天気な音を
暗く重く発音した感じ、
「電話をする」は「打電話(ター ティエン ホアー)」と空から地に向けてボールでも投げるように明るく軽く間抜けに発音する北京語に対し、
広東語の場合は、(ダー デイェン ゥアー)と 土の中から怨念を込めて暗く突き上げるように発音する。
広東語と北京語を比べると音楽で、あるメロディーを長調で歌うのと短調で歌うのの違いのような感じです。
私はこの、「ガ」とか「ゲ」とか汚い音が一杯詰まった暗い発音の広東語を大学1年ころからなんか「ツウっぽくて 俗悪で、物憂げで、美しいなーー」と思って「いつかしゃべれるようになろう」と思っていたので今面白くて仕方がない。
特にあまりの言葉の汚さ、表現のダイレクトな意地悪さにはまっている。
そんな言葉を話してちっとも傷ついていない彼らのメンタリティーにも唖然とする。
その話はまた今度書くとして
もしベトナム語をやっていなかったら広東語は九声もあるのですごく難しく感じていたと思うけれどベトナム語から想像して適当に広東語風に発音してみると8割9割がた正しい発音になるのです!!
それでベトナム語との相似もあげればどっさりと出てくる。きりがないほど。
その中でも特に発見だと思ったのは
たとえば、ベトナム語で「あの子は魅力的だ!」とかいう時魅力的という言葉をハップヤン(北部ハノイ弁では ハップザン)というのだけれど
(露出度の高い服を着て歩いていると 「ハップヤン ハップヤン」とあちこちでひやかしでくすくす笑いながらいわれるので、この言葉「セクシーー!」という意味で使うことも多い。 )
その言葉がいままでどういう語源の言葉なのかちっともわからなかった。
香港でわかったことは 「吸引」と書いて 「カップヤン」と読む。
これはハップヤンではないか!!ただしセクシーという意味はなく魅力的、吸引力のあるという意味。
そんな感じでごろごろベトナム語の疑問が解けていく。
たとえばベトナム料理として有名な「フォーー」
あれってPHOのOの上にクエスチョンマークみたいなものがついて、自分の頭をクエスチョンマーク形に大きく動かしてフォーと抑揚をつけて発音をするのだけれどベトナム語っぽくない。長い間起源が不明だった。
香港で、町をぷらぷら歩いておなかが減って、食堂に入って河粉を頼んでびっくり、これって「ホーファン」と呼ばれているではありませんかー!
そのホーの言い方がフォーと同じ抑揚。よくみると河粉ってフォーと同じ米の麺で、それから上のった香菜やら鶏肉やらをどけるとまったく同じものになる。
あともうひとつ挙げると、ベトナムには軒先にミキサーと果物が置いてあって自分の好きな果物を選んで、コンデンスミルクでシェークニしてもらうシントーという飲み物がある。シントーは中国語のビタミンという意味で「生素」の借用語だというのには気づいていました。が、「ミックスにしてください。」というときに使う「タップカム」はいったい何が起源なんだろうと思っていのです。ある日香港で、「雑錦」と書いてチャップカムと言うのを発見。魚や鳥が生々しく動いているような血なまぐさい市場に行くと赤いマジックですごい勢いで書かれたと見られる「雑錦」の札にも結構出会えます。
それにしてもなんと漢字文化っぽい言葉の想像力。錦が雑に入っている状態がミックスなのです!!
そういう感じで、香港と特にサイゴン(ホーチミン市)は伝統行事や風習はもちろんちょっとひねった流行や映画やサブカルチャー、デザインから流行語まで昔から今までダイレクトに入っていたんだなーーとひしひしと感じます。
そうそう、たとえば、一階、二階、三階というときハノイでは タンモット(層1) タンハイ(層2)というのですが
南のサイゴンでは ロウ モット(楼1) ロウハイ(楼2)という呼び方で
香港そっくり。
そういえばこの前古い香港のアパート(唐楼と呼ばれる)を借りようと見に行ったら不動産屋のおじさんから「そのアパートの問題はトイレが昔の中国式なことだ」というのでいわゆる和式トイレを想像して見に行ったら、なんとすごく狭い洋式のトイレのすぐ上に、シャワーがついていてトイレでシャワーを浴びるという、まさにベトナムスタイルだと思っていたトイレでした。「これって水しか出ないんでしょう」というと「いや温水器をかんたんにつけられる」とこれまたベトナムの大家さんそっくりの答え。
あーー香港とベトナムはつながっているーというかベトナムはこれもまねしてるーとまた感じる瞬間でした。
そうそう昨日は香港映画を見ていて 主人公が捕まりそうになったとき
ティーン アーー (天よ!!)と叫んでいましたが
これもそのままベトナム語で「チョーイ(天) オーイ」で オー マイ ゴッドの意。
日本語と広東語だって
たとえば広東語で
台風は ターイ フォン だし
晴れは 有太陽で ヤウ ターイ ヨォン
大雨は ダーイ ユー
だし土地は トウディー
山は サン
山脈は サンマッ
大陸は タイロック
半島は プントウ
という挙げ出したらとまらない。
そうそう、日本語の「ハイ」というのも広東語の「ハイ 係」を採用したと言う話を聞いたことがあります。
それまでの日本では「左様でござる」というのがハイという意味で
たしか電話かなんかができたときに「さようでござる」ではあまりに長いので
広東語のハイ を聞いてこりゃいいわ。と採用したという話。(うそかほんとかはしらないけれど)
でもこっちでは 誰もが 低いテノールの声でというか、どすの利いた声で
ハイ アーー というので 初めて聞くと妙な違和感を感じ、
慣れてくると日本語と基本的には同じなので楽でもあります。
それにしてもアジアっていうのはずっとつながっているなーー
とうれしくなります。
兄弟げんかしている場合ではないでしょう。




最近のコメント